SE-200PCI LTD改 '17ver


NO-PCI改造用にOS-CONを調達した際、SE-200PCI LTD改造用のOS-CONも同時に購入しました。
今回載せ換えたのは、DACとVLSC回路の電源部のコンデンサで、音声信号出力アナログ段の電源安定度向上が狙いです。
具体的には、

  • VLSC回路を構成するオペアンプの電源部
    "LTDの象徴"UTSJ 16V 470uF x4発から容量重視でOS-CON SEPF 16V 1000uF x4発へ
  • DAC DVDD(デジタル段電源)
    OS-CON SP 16V 270uFからよりESRが低く容量の大きなOS-CON SEPC 16V 470uFへ
  • DAC AVDD(アナログ段電源)ピン直近の何故か空きパターンになっている箇所
    パナECQV 50V 0.22uFを追加
  • DAC AVDD/AVDDL/AVDDR(アナログ段電源)
    UTSP 25V 220uFからOS-CON SEPC 16V 220uFへ
  • DAC VMIDL/VMIDR(アナログ出力中点用)
    UTSP 50V 100uFからOS-CON SEPC 6.3V 470uFへ

順番に、まずはVLSC電源ですが、正負各1発ずつで片ch3発のオペアンプに供給する電源を平滑している箇所で、純正LTD化の際にもニチコンKW220uFからUTSJ470uFに増量されています。VLSC回路が単に音声信号を鈍らせるクソ回路になるか、ノイズ除去に効果を発揮する高音質回路になるかは、構成するオペアンプがどれだけ安定動作するか、すなわちこのコンデンサの性能次第な部分もあります。今回は電解コンデンサよりも低ESRな高分子固体電解コンデンサ(カタログスペックで等価ESR12mohm以下)でなおかつ容量も倍増。
以前出力カップリングをMMTに載せ換えたときにも書きましたが、PC用の拡張ボードである以上、隣接スロットが使えなくなるような"規格外"寸法になる改造は個人的に好きになれないですし、ケースサイズ的にも電源的にもこのあたりの容量が限界でしょう。

次にDACデジタル段電源、純正で有機半導体タイプのOS-CONを搭載している点を見ても、おそらくDAC周りで最も音質への影響が大きいポイントではないかと推測されます。純正で搭載されているのは、有機半導体OS-CONの中でも低ESRでOFCリードを採用していることからオーディオグレード扱いされることもあるSPシリーズの16V 270uF、カタログスペックで等価ESR18mohm以下のコンデンサです。実はこのスペック、最新の高分子固体電解コンデンサと比較しても遜色ない性能を持っており、一例を挙げると現行OS-CONで標準品とされるSEPタイプの、同じ耐圧16Vで容量の近い330uFはカタログスペックで等価ESR16mohm以下となっています。ここを載せ替えるかは最後まで迷ったのですが、結局少しでも特性に優れるものを、ということで現行OS-CONでも低ESR品とされるSEPCシリーズの16V 470uF、等価ESR10mohm以下の物に載せ換え。

次にDACアナログ段電源、上にも書きましたがパターンだけが存在し何故かコンデンサの載っていない箇所が一箇所あります。DVDD/AVDDL/AVDDR/VMIDL/VMIDRの各ピンには直近にそれぞれ0.1uFのフィルムコンが搭載されており、ここだけ空きパターンとなっている理由は不明です。おそらく開発段階では音質面の理由からここだけ容量が0.1uFよりも大きいフィルムコン、もしくはタンタルなどの種類の違うコンデンサを採用したものの、いざ量産段階になってここだけ違う部品を載せるのは購買上生産上の都合で難しく、音質評価/開発部門の意向を無視して(若しくは十分に確認を取らずに)省略してしまったのではないかと疑われます。せめて他のピンと同じ0.1uFのフィルムコンを載せておくだけでもだいぶ違いそうな印象なのですが。。。今回ここには「見た目のサイズ形状や色が近い」というアホな理由でパナソニックECQVを選定、0.1uFよりちょっと大きな容量の0.22uFを新たに載せました。
AVDD/AVDDL/AVDDRの3個の電解コンデンサは、純正LTD化の際にニチコンKW 16V 330uFからUTSP 25V 220uFへ容量が落とされています。単純にケースサイズや購買単価の都合による選定の可能性もありますが、耐圧は上げられているあたり音質面からの選定の可能性もあり、今回はこのLTDの220uFを維持しています。SEPCシリーズで等価ESRはカタログスペック13mohm以下の物に載せ換え。
より低ESRでちょっとだけ容量の大きいSEPC 16V 270uFにしようかとカタログを見たときには思ったのですが、秋月には置いていなかったので断念。

最後にDAC出力の中点電圧用コンデンサですが、このコンデンサの役割は「DACから出力される音声信号の基準のゼロを保持する事」。ある意味電源以上に重要な箇所です。純正ではUTSPの50V 100uFが搭載されており、まぁ「これで十分」という事なのでしょうが、今回ここは容量を一気に470uFまで増加させています。またAVDDL/AVDDRに供給される5Vの電源からDAC内の分圧抵抗で生成される電圧で、2.5Vしかかからない(はず)の箇所なので、耐圧も純正の50Vから6.3Vへ一気に落としています。ESR重視のSEPCシリーズで等価ESRはカタログスペック1桁突入の8mohm以下の物に載せ換え。
耐圧6.3VのSEPCは秋月には置いていなかったので千石で買っているのですが、カタログを見ると6.3V 470uFにはケースサイズ違いで等価ESR7mohm以下なんて物もあるらしいです。どっちにしても売ってなかったんですけど。


純正では耐圧25Vとか耐圧50VのUTSPが多用されていますが、音質面でケースサイズがより大きい耐圧の高い電解コンデンサのほうがメリットがあったためか、見た目にコンデンサのケースサイズを大きなものに揃えることで外観の見栄えを良くした販売戦略上の理由か、はたまた単に購買上の理由での選定かは不明です。しかしDAC周りでは電源電圧が基本5Vであることから、今回載せ換えに使用した高分子固体電解コンデンサは耐圧を16Vまで落としています。
また前の記事の繰り返しになりますが、千石で売ってるニッケミPSCより秋月で売ってるOS-CON SEPCの方が安かったのでOS-CONです。

高分子固体電解コンデンサは、はんだ付けの熱による劣化からの回復に時間がかかるので、聴感上での音質向上がどこまであるかはしばらく鳴らしてみないとなんとも言えないところですが、改造後一発目の音出しでも前よりも低音が締まってちょっとスピード感が増したかな?と思うような気もしますがプラセボのような気もします。あとチャンネルセパレーションが改善したような気もしますがプラセボのような気もします。
まぁ少なくとも劣化はしていないので今後に期待。
と同時に、もうしばらくはPCIスロット現役続行宣言です(笑)